現場での気づき
解体される家から、150本のCDを運び出した
遺品整理で「捨てる」と「売る」のあいだに立つ|行政書士との連携第1号

今日は、もうひとつの会社の話を少しだけ書きます。
ウェブエイトとは別に、株式会社ヴィンテージストックという会社もやっています。カメラ、楽器、時計、オーディオ、レコード、着物、古着、ドローン、ロードバイク。ヴィンテージ品や、まだちゃんと使えるものを買い取って、世の中に活かしていく会社です。
ここ、少し変わった形をしていて、創業したのは僕で、いまの社長は父です。
世の中の会社はたいてい逆です。親がつくって、子が継ぐ。うちは僕が立ち上げて、2代目が親。この経緯は、近いうちにちゃんと書きます。 今日は先に、昨日入ってきた報告のほうを。

「解体するので、中のものをどうにかしてほしい」
岡谷の行政書士さんから、依頼が来ました。
亡くなった方のお宅を解体することになった。その前に、中に残っているものをどうにかしてほしい。そういう話です。
うちが入って、運び出したのはCD・DVDが150本ほど。それとレコードでした。
先週、業者向けのウェブオークションに出品しています。落札は今週の土日。いくらになるかは、まだ分かりません。
全部は、持ち出しません
ここが、あまり知られていないところだと思います。
現場に入って、全部運び出すわけではありません。 仕分けの手間と、運ぶ手間と、売れる金額。この3つを並べて、持ち出すものを選びます。
運ぶ手間のほうが高くつくものは、置いていくしかない。それは処分にまわります。
冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、逆です。選ばないと、全部が処分になるからです。

家族に見せたくないものは、必ず出てきます
遺品整理の現場で、毎回出てくるものがあります。
故人が、家族には見せていなかったものです。
趣味のコレクション、手紙、写真、通帳、家族の知らない人との記録。中身は書きませんが、想像はつくと思います。
これを最初に目にするのが、たいてい息子さんや娘さんです。片付けに来て、押し入れを開けて、手が止まる。
うちが入る意味の半分は、ここにあると思っています。第三者が先に開けるということです。
業者は、驚きません。仕分けて、売れるものは売り、そうでないものは処分にまわす。それだけです。家族が開けたら一生忘れない光景も、こちらは作業として終わらせられます。
「親のものを他人に見られるのは嫌だ」と思われるかもしれません。でも実際は逆のことが多くて、家族が見るほうが、ずっとつらいんです。
「捨てる」と「売る」のあいだに、誰も立っていない
現場の話を聞きながら、ずっと引っかかっていたことがあります。
家を片付ける側の家族は、たいてい遠くに住んでいます。日程は決まっている。解体の日も決まっている。手元にあるのは、見たことのない量の物です。
そして、その物に値段がつくのかどうかが、分かりません。
分からないものは、全部まとめて「処分」になります。それがいちばん早くて、いちばん考えなくて済むからです。
昨日書いた記事と、同じ構造だと思いました。
自分の持っているものの価値は、自分からは見えません。会社の価値もそうだし、家に残された物もそうです。外から見る人が入らないと、価値はゼロとして扱われます。
「捨てる」と「売る」のあいだに、誰も立っていない。そこに立つのが、この仕事だと思っています。
これ、経営に置き換えると
もうひとつ、この案件には続きがあります。
依頼をくれた行政書士さんは、看取りの事業を始めたばかりでした。今回が、その第1号の案件だったそうです。
つまりこれは、うちにとっての第1号であると同時に、その方にとっての第1号でもありました。
士業が入口で、買取が出口です。
相続の相談に来た方には、必ずその先に「家をどうするか」「物をどうするか」が待っています。でも行政書士さんは、物を買い取ることはできません。うちは、相続の手続きはできません。
つながっていれば、ご遺族は窓口1つで済みます。つながっていなければ、ご遺族が自分で業者を探すことになります。
これ、どんな商売にも当てはまります。
自分の仕事の「前」と「後」に、誰がいるか。
うちで言えば、ホームページの前には創業や融資の相談があって、後には採用や人材育成があります。そこに知り合いがいるかどうかで、お客さまの手間がまったく変わる。
営業に行く前に、隣を見る。そのほうが早いことが多いです。
今日できる一歩
もし、実家の片付けがそう遠くない方がいたら、ひとつだけお願いがあります。
壊す前に、一度止めてください。
解体が始まってしまうと、もう何も戻せません。古いカメラも、レコードも、時計も、着物も、中身を見ずに運び出されたら終わりです。
値段がつくかどうかは、見る人が見れば分かります。1回見てもらうだけなら、それほど手間ではありません。
さあ、いこうか😆
P.S.
「社長はお父さんなんですね」と言われることが、たまにあります。そのたびに「はい、2代目が父なんです」と答えると、だいたい一度止まってから笑われます。
順番が逆なのには、ちゃんと理由があります。その話は、また近いうちに。
この記事の短縮版を note にも出しています。