現場での気づき
12時間の祭りと、2時間の片付け
町の祭りの山車を解体して分かった、続けるために要るもの

昨日は、町の祭りでした。
朝8時から夜8時まで。長持ちを担いで町内を回って、山車を引いて、最後は片付け。まるまる1日です。
長持ちは、もともと衣類や夜具をしまう蓋つきの長い箱です。棹を通して2人で担ぐ。昔は嫁入り道具でした。信州では、これを担いで町を回るのが祭りの形として残っています。諏訪では団体が何十もあるそうです。
結論から言うと、いちばん考えさせられたのは片付けのほうでした。

翌日が雨だから、今日のうちに
祭りが終わったのは夕方です。普通ならそこで解散したいところですが、昨日はそうもいきませんでした。
翌日が雨の予報だったからです。
濡らしたらいけない部材がある。だから、その日のうちに乾かして、外して、しまう。祭りのテンションが切れかけたところから、もうひと仕事が始まります。
提灯を外して、枠にまとめて縛る。電球は専用の袋へ。ばらした部材は乾かしてから、隣の家の倉庫に運び込む。古い部材には、置く場所まで決まっています。

山車を倒すときが、いちばん危ない
作業の山場は、立っている柱を倒すところでした。
ロープを3〜4周巻いて、複数人で支えながら、声をかけ合ってゆっくり倒す。ここだけは、誰も雑にやりません。 過去に危ない目にあったことがあるからだと思います。
ロープの結び方にも、外し方にも手順があります。青いパーツを押すと外れる金具があって、知らない人は力ずくでやろうとする。知っている人がいれば一瞬です。
そこで、こんな話になりました。
「この手順、全部覚えてる人、何人いるんだろうね」
笑い話のようでいて、笑えない話でした。

祭りが消えるのは、飽きたときじゃない
一昨日、僕は1300年続く鵜飼を船の上から見てきました。鵜匠は6人、代々の世襲です。人が人に、直接渡してきた。
町の祭りには、世襲がありません。担ぎ手は毎年集まる人で変わります。今年も人手が足りなくて、少ない人数で回した場面がありました。
祭りが消えるのは、みんなが飽きたときではないと思います。
片付け方を知っている人が、いなくなったときです。
本番は、見れば分かります。楽しいから人も来ます。でも、部材の乾かし方も、ロープの巻き方も、倉庫のどこに何を置くかも、見ただけでは分かりません。
新しく入った人を、どう迎えるか
片付けのあと、もうひとつ出た話があります。
人手が足りない。 町内全員が出てくるわけではないし、担ぎ手は少人数で回すことになる。休みなしのローテーションになる場面もありました。
そこで出たのが、「今年から入ってくれた人を、ちゃんと見ておこう」という話でした。新しく来た人、若い人が何をやってくれたか。それを覚えておいて、来年また声をかける。
これ、会社の新人の扱いとまったく同じです。来た人が「また来たい」と思うかどうかは、たいてい初回の扱いで決まります。
これ、経営に置き換えると
会社でも、まったく同じことが起きています。
年に1回しかやらない仕事ほど、誰かの頭の中にしかない。 決算まわりの段取り、大きなイベントの設営、年1回の更新作業。毎日の業務はマニュアルがあるのに、年1回の仕事は「去年やった人」に聞くしかない。
その人が辞めた瞬間に、その仕事は一度ゼロに戻ります。 ゼロから組み直すと、たいてい前より雑になります。
やることは、3つだけでいいと思っています。
1つ目。写真を撮る。 文章より早いし、正確です。ばらす前と、ばらしたあと。置き場所も1枚撮っておく。
2つ目。順番だけ書く。 きれいな手順書は要りません。「①提灯を外す ②枠に縛る ③電球は袋へ」で十分です。
3つ目。危ないところだけ、理由を書く。 「ロープは3〜4周。1周だと滑る」。この一行があるかどうかで、来年の安全が変わります。
今日できる一歩
年に1回しかやらない仕事を、1つだけ選んでみませんか。
そして、次にやるときに写真を3枚撮る。来年の自分に渡すつもりで。
それだけで、その仕事は誰かの頭の外に出ます。
さあ、いこうか😆
P.S.
片付けのあとは、みんなで「なおらい」でした。話題は出張の移動時間は勤務時間に入るのか、部活の顧問に手当がないのはどうなのか、海外には不登校という概念がない国があるらしい、と広がっていって。作業のあとのこの時間が、いちばん町内会らしいと思います。来週の土曜は、慰労会だそうです。
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