ブランディング
USPの例・事例30選|中小企業の実例と作り方【2026年更新】
最終更新:2026年9月22日(2015年の公開から、事例と作り方を随時更新しています)
ウェブエイトの研修には、USP考察の研修があります。20年で20,000人以上の経営者と向き合うなかで、USPづくりの現場に何百回も立ち会ってきました。
ドミノ・ピザのUSPはあまりにも有名ですが、「他にも事例はないですか?」と本当によく聞かれます。探してみると、事例をまとめて、しかも作り方まで書いてあるページってあまり無いんですよね。
だからこの記事に、全部まとめました。有名事例30選、僕が実際に作ってきたUSPの実物、そして研修でやっている作り方の手順まで。ブックマークして、自社のUSPづくりに使ってください。
USPとは?(30秒でわかる定義)
USP(Unique Selling Proposition)とは、「この商品を買えば、この利益が手に入る」という、自社にしかできない提案のことです。日本語では「独自の売りの提案」。ただの強みでも、キャッチコピーでもなく、お客様への約束です。
提唱したのは、アメリカの広告人ロッサー・リーブス。1961年の著書『Reality in Advertising』(邦訳『USP』海と月社)で、数百ブランド・20年分の広告効果を測定した末に、成果の出る広告に共通する3条件を挙げました。
USPの3条件(リーブスの原典より)
① 広告は必ず消費者への「提案」であること——「買えば、この便益が手に入る」
② その提案は、競合が示せない・示していない独自のものであること
③ その提案は、何百万人も動かせるほど強力であること
大事なのは②の読み方です。リーブスは「競合が示せない」だけでなく「示していない」でもいいと言っています。つまり、みんながやっていることでも、最初に言った者が独自性を先取りできる。ここが、中小企業にとっての最大の希望です(後半の「作り方」で詳しく書きます)。
もうひとつ、リーブスは「凸レンズの原理」を残しています。消費者はひとつの広告から、ひとつの主張しか覚えられない。5個も10個も語ると、何も残らない。だからUSPは、虫めがねで太陽の光を一点に集めるように、ひとつに絞ります。
USP事例集30選(一言解説つき)
それでは事例です。ただ並べるだけだと使えないので、それぞれに「なぜ効くのか」を一言つけました。
スピード・時間を約束するUSP
01. ドミノ・ピザ
「熱々のピザを30分でお届けします。間に合わなければ無料」
→ 世界一有名なUSP。味ではなく「待たされる不安」に約束した。ペナルティ(無料)まで背負うから信じられる。
02. QBハウス
「ヘアカット1,000円、所要時間10分」
→ 数字が2つ入って、体験が完全に想像できる。「安い・早い」と言わずに安い・早いが伝わる。
03. フェデックス
「絶対に、何としてでも一晩で届けたい時に」
→ 「翌日配送業界」を自分で作った宣言。全部の荷物ではなく「絶対に間に合わせたい荷物」に絞ったのが上手い。
04. ASKUL(アスクル)
「オフィス用品を明日お届けします」
→ USPがそのまま社名になった稀有な例。名前を呼ぶたびに約束が浸透する。
05. キャタピラー
「世界のどこでも48時間以内に部品交換します」
→ 建機は止まったら1日数百万円の損失。顧客の損失構造を知り尽くした約束。
06. ヤマト運輸(宅急便)
「電話1本で集荷・1個でも家庭へ・翌日配達」
→ 「小口の荷物は儲からない」という業界の常識の逆を張って、市場そのものを作った。
保証・リスクをなくすUSP
07. javari(ジャバリ・現Amazonシューズ)
「何足でも試せる!翌日お届け 送料&返品無料」
→ 靴の通販最大の不安「サイズが合わなかったら」を丸ごと引き受けた。
08. 富士屋牛(焼肉食べ放題)
「牛一頭食べたとしても、999円」
→ 誇張に見えて、実は「上限の完全保証」。笑いながら記憶に残る。
09. コカブ(美容室)
「90日間来店不要」
→ 美容室が「来なくていい」と言う逆説。持ちの良さへの絶対の自信が1行で伝わる。
10. ライザップ
「結果にコミットする。」
→ 30日間無条件全額返金保証とセットで機能するUSP。ビフォーアフター広告と一体で「約束」を可視化した。
五感に訴えるUSP
11. M&M's
「お口でとろけて、手にとけない」
→ リーブス自身が手がけた歴史的USP。チョコの弱点(手が汚れる)を製品特徴(糖衣)で解決し、それを一言にした。
12. ダイソン
「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」
→ 「最強の吸引力」とは言っていない。「変わらない」なら競合は誰も言えない。②の条件のお手本。
13. アルトイズ
「おもしろいほどキョーレツなミント味」
→ 「爽やか」と言い合う業界で、強すぎることを個性にした。
14. ワンダーブレッド
「12通りの方法で強い身体を作ります」
→ ただの食パンを「栄養」で再定義。リーブス率いるテッド・ベイツ社の代表作。
15. ラッキーストライク(タバコ)
「It's Toasted(トーストしてあります)」
→ 1917年。実はどのメーカーも葉をあぶっていたが、最初に言ったのはラッキーストライクだけ。「先取り」の元祖。
ポジションを宣言するUSP
16. エイビス・レンタカー
「我社は業界第2位です。だから頑張ります」
→ 弱みを言った瞬間、全部の言葉が信じられるようになる。広告史に残る逆転の発想。
17. セブンイレブン
「開いててよかった」
→ 営業時間(7時-23時)という事実を、顧客の安堵のセリフに翻訳した。
18. ブックオフ
「立ち読みOK」
→ 本屋の「ダメ」を「どうぞ」に変えただけ。ルールの逆張りはそれだけでUSPになる。
19. リーバイス
「世界で最初のジーンズメーカー」
→ 歴史は誰にも真似できない。創業年・発祥・元祖は最強の独自性。
20. 東京ディズニーランド
「遊園地ではなく、テーマパーク」
→ カテゴリーを自分で作って、その唯一になった。従業員を「キャスト」と呼ぶ言い換えまで一貫している。
21. ユニクロ
「LifeWear(あらゆる人の生活を、より豊かにするための服)」
→ 「安いカジュアル」との比較から抜け出すために、新しい言葉を発明した。
22. エナジャイザー(エボルタ含む電池業界の定番型)
「長持ち」を数字と実演で証明する型
→ 主張+実証(デモ)はリーブスの時代から最強の組み合わせ。
ターゲットを絞り切るUSP
23. ホンダ・ステップワゴン
「こどもといっしょにどこいこう。」
→ ミニバンの機能(広い・積める)を語らず、家族の情景だけを語った。買う理由は機能ではなく情景。
24. Apple iPod
「ポケットに1,000曲を」
→ 「5GB・185g」というスペックの完璧な翻訳。数字は顧客の言葉に直すと武器になる。
25. シークレット・デオドラント
「男性にも効果的。でも女性用」
→ 「あなた専用」と言われた瞬間、他の選択肢は消える。
26. オフィス119番
「オフィスの困った!解決します。365日夜9時まで出勤!」
→ 社名で緊急性、営業時間で本気度。中小企業のお手本のような設計。
技術・実証で押し切るUSP
27. 稲葉製作所(イナバ物置)
「100人乗っても大丈夫」
→ 耐荷重試験という地味な事実を、100人が実際に乗るCMで見せた。実演つきの約束は疑えない。
28. 株式会社コダマ(メッキ加工)
「クワガタにもメッキ加工できる技術力」
→ BtoBの技術力を、誰でもわかる一点(クワガタ)で証明。展示会で足が止まる。
29. 恵那バッテリー(自動車整備)
「全輸入車緊急整備対応可能!世界で認められた整備士在籍」
→ 「輸入車はディーラーへ」という思い込みを、資格という証拠で崩した。
30. まるこほーる(ワインショップ)
「自然派ワイン在庫数中部地区No.1」
→ 「エリア×カテゴリー」で絞れば、中小企業でもNo.1は名乗れる。次の章のやり方そのものです。
僕が現場で作ってきた実例(拙著にも書いた一次情報)
ここからは、他のUSP記事には書けないことを書きます。僕自身が現場で作ってきた実例です。
その前にひとつ整理を。現場では、USPの親戚にあたる言葉がセットで出てきます。ブランドコンセプト(会社の存在意義を表す一言=幹)、USP(お客様への具体的な売りの提案=枝)、キャッチコピー・ネーミング(それをどう言うか=葉)。研修ではこの順番で作ります。以下、どれの実例かを明記しながら紹介します。
実例①:自分自身のUSP——「ブランディングウェブ戦略研究家」
長野にウェブ制作会社は山ほどあります。ブランディングの専門家も大勢います。でも20年前、「ブランディングを軸にウェブをやる人」はほとんどいませんでした。
そこで「ブランディング × ウェブ屋」を掛け算して、小さな市場を自分で作り、その唯一になりました。肩書きも「コンサルタント」ではなく、あえて「研究家」。コンサルタントは大勢いる、研究家はほとんどいない。それだけの理由です。
この作り方は、拙著『自分1人、1日でできるパーソナルブランディング』(同文舘出版・5刷)で1冊かけて書きました。本の中では、自分を20〜40字で明文化するテンプレートも紹介しています。僕自身のものはこうです。
「楽しい場作りで、中小企業のブランド価値を引き出し、ウェブで浸透させる専門家」
「楽しい場作り」は僕の性格そのものです。自分の性質を価値の入口に置くと、USPは続けられるものになります。
実例②:小林創建さん(住宅・松本)——ブランドコンセプトの実例
これはUSPというより、その上位にあるブランドコンセプトの実例です。研修で全員が案を出し、トーナメント形式で戦わせて決めた一言。
「信州の暮らしを彩り、家族と共に育てる美しい木の家」
ポイントは「信州の」。エリアを絞ることは弱さではなく、信州で家を建てる人にとっては「全国対応の会社」より強い理由になります。まるこほーる(事例30)と同じ原理です。ここからUSPやキャッチコピーが枝葉として育っていきます。
実例③:トライワングループさん(住宅設備・長野)——コンセプトからUSPまで
つい先週(2026年8月)、2日間の研修で作ったばかりの実例です。ハウスメーカーの保証が切れたあと「どこに頼めばいいか分からない」家がたくさんある——という顧客の困りごとから導いた一言。
「一家にひとり、いつもの相棒」
業者ではなく、相棒。呼べば来てくれて、壊れる前から気にかけてくれる。この研修では、コンセプトで止めずに新サービスの約束(USP)とキャッチコピーまで2日間で落とし込みました(サービス名はリリース前なので、発表までのお楽しみ)。2日間の中身はブログに全部書きました。トーナメントで決めていく過程まで読めます。
実例④:サロン「ブラ部」——ネーミングの実例
拙著にも書いた、ネーミングの実話をひとつ。僕が主宰していたブランディングを学ぶサロンに、「ブラ部」と名づけました。ブランディング部活動、略してブラ部。
ふざけているようで、理屈は通っています。記憶 = 印象 × 接触回数。掛け算なので、印象がゼロに近い無難な名前は、何度聞いても記憶に残りません。少しトガった引っかかりがあるから、一度で覚えられて、人に話したくなる。(ちなみにもっと過激な案もありましたが、却下しました。トガりすぎも事故です)
実例⑤:プロショップ車館さん(自動車整備・長野)——「弱み」がコンセプトになった実例
2026年9月、長野市のプロショップ車館さんの研修です。車検・整備から板金、輸入車、中古車販売まで何でも手がける会社で、社長は「うちは何でも屋で、強みがない」「断らないのが弱み」と言っていました。社員全員でトーナメント形式で決めた一言がこれです。
「むっちゃあなたのカーコンシェルジュ」
これが幹(ブランドコンセプト)。翌週の研修で、ここから枝のUSP——研修では「CCC(クリティカル・キャッチ・コピー)」と呼んでいます——まで落とし込みました。社員全員の案からトーナメントで選ばれた一言が、「まるっとずっと車館」(サブに「あなたのカーコンシェルジュ」)。車のことは何でも、いつまでも、車館に。社名がそのまま約束になっています。
「断らない」を裏返すと、「車のことなら何でも相談できる」。大手が専門を細かく分けるほど、その反対側が空きます。しかもこの日、研修の助手に入っていた社員の母親が長年のお客さんで、「メーカーを変えても、ここならずっと付き合ってくれる」と答えていました。会議室で決めた一言が、お客さんの言葉と一致していたわけです。その日の記録はブログに書きました。
番外:大好きな地元のUSP
ルピナ中部工業さん(水まわり)「水まわりのトラブル24時間365日出動」、そしてパソコン教室みっぷすさん「同じことを100回聞かれても笑顔でお答えします」。特にみっぷすさんは、パソコン教室に通う人の本当の不安——「同じことを何度も聞いたら迷惑かな」——に真正面から約束した、僕の大好きなUSPです。技術も設備も要らない、視点だけで作られた一言。中小企業のUSPのお手本だと思います。

USPの作り方5ステップ(研修でやっている手順)
では、作り方です。研修で実際にやっている手順を、そのまま書きます。紙とペンがあればできます。
STEP1:自分の強みを30個書き出す(5分)
タイマーを5分にセットして、強みを30個。ナンバーワンでなくていい。「創業50年」「社長が現場に出る」「即日見積もり」——このレベルで構いません。質より数です。
STEP2:お客様が本当に求めているものを書き出す
ここで大事な原則をひとつ。あなたの強みは、あなたの中ではなく、お客様の頭の中にあります。「他社もある中で、なぜうちを選んでくれたんですか?」——既存のお客様にこれを聞いてください。返ってきた言葉が、USPの原石です。
STEP3:ライバルの「言っていること」を調べる
競合5社のホームページ・チラシ・看板を見て、全社が共通して言っていることをリストにします。それは「業界標準」であって、いくら磨いても差になりません。狙うのはその外側です。
STEP4:3つの円を重ねる

①自分にできること、②お客様が求めていること、③ライバルにできる(言っている)こと。この3つの円を重ねて、「①と②に入っていて、③に入っていない場所」を探します。そこがあなたのUSPの住所です。
見つからないときは、2つの道があります。ひとつは実例①で書いた掛け算で市場を作る道。もうひとつは、リーブスの言う「先取り」です。1920年代、シュリッツというビール会社は「蒸気で瓶を殺菌している」と広告に書きました。実はどの醸造所もやっていた当たり前の工程です。でも最初に言ったシュリッツは、半年で業界5位から1位になりました。あなたの業界の「みんなやってるけど、誰も言っていないこと」は何ですか?
STEP5:一言にして、テストする
最後に一言にまとめて、3条件でチェックします。
- 提案か?——「買えば、こうなる」と約束しているか(自慢話になっていないか)
- 独自か?——競合がそのまま使えてしまう言葉なら作り直し
- 強力か?——それを聞いたお客様が、思わず人に話したくなるか
そして完成したら、名刺・看板・ホームページ・チラシ・自己紹介、すべてに同じ一言を載せて、変えずに使い続けてください。リーブスの調査では、キャンペーンを頻繁に変えた広告主は5年で浸透度を60%失っています。USPは決めることより、言い続けることのほうが難しいんです。
よくある失敗3つ
失敗①「高品質・低価格・安心対応」を全部言う。凸レンズの原理に反します。3つ言うと、ひとつも残りません。
失敗②お客様が確かめられない自慢を言う。「地域最高の技術力」は、証拠がなければ読み飛ばされます。数字・実演・保証で証明できる形にしてください(焼肉店の「牛一頭食べても999円」、ワインショップの「自然派ワイン在庫数中部地区No.1」のように、事例08・30の中小企業がやっている形です)。
失敗③すぐ変えてしまう。飽きるのは、毎日見ているあなただけです。お客様の9割はまだ知りません。効いているUSPは、飽きてからが本番です。
よくある質問
Q. USPとキャッチコピーの違いは?
A. USPは「何を約束するか」という中身の戦略、キャッチコピーは「どう言うか」という表現です。USPが決まっていれば、コピーは何通りでも作れます。詳しくはUSPとキャッチコピーの違いに書きました。
Q. 独自の技術がない普通の会社でもUSPは作れますか?
A. 作れます。ラッキーストライクもシュリッツも「みんなやっていること」を最初に言っただけです。技術ではなく、視点と順番の勝負です。
Q. USPは一度作ったら変えてはいけない?
A. 商品や市場が本質的に変わったら見直します。ただし「飽きたから」は理由になりません。判断基準は自分の感覚ではなく、お客様に届いているかどうかです。
自社のUSPを本気で作りたい方へ
この記事の作り方は、僕の研修でやっていることの骨組みです。もっと深くやりたい方のために、2つ用意しています。
①無料小冊子『営業ゼロで受注が倍増する、経営者のためのパーソナルブランディング8ステップ』(PDF)
この記事のSTEP1〜5を、書き込み式のワークにした完全版です。メルマガ「クサマガジン」にご登録いただいた方に無料でお届けしています。
→ 小冊子を受け取る(無料)
②LINE公式アカウント
2つの質問であなたの経営タイプがわかる「ジブリでビジネスタイプ診断」と、発信のヒントをお届けしています。
→ LINEで友だち追加する
参考書籍(もっと深く学びたい方へ)
この記事の理論的な土台になっている本を紹介します。どれも僕の本棚で現役です。
①『USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則』ロッサー・リーブス(海と月社)
USPの原典。1961年の本ですが、広告の本質は何も変わっていないことに驚くはずです。この記事で紹介した3条件・凸レンズの原理・先取りの話は、すべてこの本が出どころです。
→ Amazonで見る
②『USP2.0 あなたの商品の"独自のウリ"を見いだす方法』ビル・シレー(ダイレクト出版)
リーブスのいたテッド・ベイツ社出身の著者による現代版。「人々が思わず繰り返してしまう短い言葉(マイクロスクリプト)」という切り口が秀逸です。※ダイレクト出版の直販のみで、Amazonでは買えません。
③『集客で悩み続ける起業家のための安定して稼ぎ続ける「月100万レシピ」』草間淳哉(産学社)
拙著です。USPの作り方を、起業家の集客の文脈で1章かけて書きました。この記事の作り方5ステップの元になっている実践版です。
→ Amazonで見る
④『自分1人、1日でできる パーソナルブランディング』草間淳哉(同文舘出版・5刷)
こちらも拙著。個人の「唯一」を1日で言語化する8ステップ。実例①で紹介した明文化テンプレートやネーミングの話は、この本に詳しく書いています。
→ Amazonで見る
※本記事のAmazonリンクはアソシエイトリンクです。Amazonのアソシエイトとして、当ブログは適格販売により収入を得ています。