ブランディング
求人票の中のうちは、まだ毎朝通勤していた
フルリモートにしたのに募集要項が昔のまま|会社案内の点検の順番

昨日、自分のプロフィールが5年前のまま放置されていた話を書きました。
「明日は会社案内のほうを開きます」と宣言したので、今日はそっちを開きました。
結論から言うと、求人票の中のうちの会社は、まだ毎朝オフィスに通っていました。

勤務地:JR松本駅から徒歩15分
うちの採用ページの募集要項に、こう書いてありました。
勤務地 長野県松本市井川城1-6-29 サーキットデザインビル3F(JR松本駅から徒歩15分)
松本オフィスは、いま神田1-33-4です。住所が古い。
ただ、問題はそこではありませんでした。その2つ下の行です。
勤務形態 通常勤務
うちは今年の4月から、完全フルリモートです。
通常勤務ではありません。駅から徒歩15分も、もう誰も歩いていません。
住所を間違えていたのではなく、会社の働き方が変わったのに、求人票だけ書き換えていなかった。そういうことでした。
「社長の車があるかないかで、判断してたんですけど」
フルリモートに切り替えたのは、社員のほうが働きやすいと言ってくれたからです。
4月に、明美さん(内川明美さん)がお客さまとの打ち合わせで、こんな話をしていました。
今もうちが本当に今月から完全フルリモートになりまして。私もここ自宅で、もう社長にも会うことが本当になくて。
今まではその社長のご自宅の近くのところにオフィスがあったので、そこに行く時に、社長の家の前を通ると、社長の車があるかないかで、今日はいるんだな、いないんだなって判断してたんですけど、今はもうそこも通らないので。
社長の車の有無で出社を察する、というのはなかなかの文化です。いまはそれがなくなりました。
7月には、ゆかりさん(竹中ゆかりさん)と明美さんがこんな話もしていました。
「在宅ですっていうようになってからさ」
「そうそうそう。あ、もうリストから外れてるのかなみたいな」
営業電話が減った、という話です。オフィスの固定電話にかかってきていたものが、そもそも鳴らなくなった。
フルリモートにして増えたのは仕事の密度で、消えたのは雑談でした。その雑談はバディランチという制度で戻しています。
これだけの変化が、求人票には1文字も書かれていませんでした。
いま「長野で在宅の仕事を探している人」がうちの求人票を見ても、通勤前提の会社にしか見えません。いちばん伝えたい条件が、いちばん伝わっていない場所で消えていました。
もっとまずいのが、その下にあった
同じ募集要項の、給与の欄です。
パートタイマー : 時給800円〜1,200円
長野県の最低賃金は、いま1,061円です。しかも10月2日から1,117円に上がります。
時給800円は、最低賃金を下回っています。
もちろん、実際にその金額で人に働いてもらっているわけではありません。募集要項の文字が、何年も前のまま止まっていただけです。
でも、見る人はそんな事情を知りません。
求人票の数字は、こちらから提示した労働条件です。「昔の表記が残っていました」は、見た人には見えません。見えるのは、最低賃金を下回る時給を載せている会社、という姿だけです。
しかも、です。
うちのサイトには、スタッフが書いた「最低賃金アップ、企業はどう備える?」という記事が載っています。全国平均1,500円という目標の話まで、ちゃんと書いてある。
その記事が載っているサイトの中で、自社の求人票だけが時給800円で止まっていました。
昨日の記事に、僕はこう書きました。「古い情報は信用を削る」。
訂正します。古い情報は、信用を削るだけでは済みません。実害を出します。

トップページには、1か月前の夏休みが出ていた
ついでにトップページのお知らせも見ました。いちばん上に出ていたのが、これです。
2026/08/05 [お知らせ]夏季休業期間のお知らせ
8月の夏季休業は、とっくに終わっています。今日は9月23日です。
セミナーの欄には、こういうのも並んでいました。
【不開催決定】AIを使いこなして業務効率UPセミナー
やらないと決めたセミナーが、トップページで参加者を待っている。
お知らせは、出すのは簡単です。難しいのは消すことでした。出すときは「早く出さないと」と思うのに、終わった瞬間に、誰の仕事でもなくなる。
これ、経営に置き換えると
昨日あげた点検の3点は、「終わった肩書き」「新・最新・今年」「固有名詞の誤記」でした。今日、2つ増えました。
4. 会社の決め事が変わったページ
働き方、料金、サービス内容、体制。社内で決めた瞬間に、外向きの文章は全部古くなります。 うちのフルリモートがまさにこれでした。決めて、運用して、半年経って、求人票だけ取り残されていた。
社内の決定を、どのページに反映するか。決めた日に決めておかないと、誰の仕事でもなくなります。
5. 数字と住所が書いてあるページ
こちらは、自分が何もしなくても、外側が動いて古くなるものです。
- 最低賃金は毎年10月に上がる
- 消費税率が変われば、載せた価格が全部ずれる
- 制度が変われば、募集要項の書き方そのものが変わる
肩書きの古さは「自分が変わったのに直していない」。数字の古さは「自分は何も変えていないのに、世の中が動いたから古くなった」。後者のほうが、はるかに気づきにくい。
そのうえ厄介なのは、数字が書いてあるページほど、人は真剣に読むということです。求人票の給与欄。料金表。会社概要の住所。流し読みされない場所ほど、古いと刺さります。
直します
今日見つけたものは、そのまま直します。順番は、求人票の給与と勤務形態からです。
信用の話より前に、これは人に迷惑がかかる話だからです。
書き直したら、うちの求人票はこうなります。勤務地は、どこでも。通勤時間はゼロ。社長の車を見て出社を察する必要も、もうありません。
その会社の本当の姿は、求人票を書き直したときに、はじめて外から見えるようになります。
昨日、僕はこう書きました。「公開日は、完成日じゃない。育てはじめる日」。
育てるというと成長させることのように聞こえますが、実際にやることの半分はこういう草むしりです。
2日続けて自分の恥をさらしていますが、この1年で働き方や料金を変えた方は、今日か明日、5分だけ自社サイトを開いてみてください。求人ページの給与欄からどうぞ。
さあ、いこうか😆
P.S.
写真は、うちの登記上の本社です。元禄時代に建った、草間の本家。アメリカという国ができるより前から、この家はここに建っています。
300年そこにある家を本社にしておきながら、半年前に変えた働き方を書けていなかった。
古いものを大事にするのと、古い情報を放置するのは、まったく別の話でした。
この記事の短縮版を note にも出しています。