マーケティング
「がっちり合ってます」と言われて、負けた
提案が通らない本当の理由は、中身ではなく順番

9月1日、月曜の朝。
あるホテルの経営者に、サイトのデザイン案を2案持って、オンラインの打ち合わせに入りました。
結論から言います。受注はゼロでした。 しかも、中身では負けていません。
2案とも、方向性は合っていた
1案はうちのディレクターがつくった、女性目線の案。友人同士の旅や夫婦の旅を想定して、大きな湯船とゆっくり休めるベッドという「癒やし」を主役に置いたものです。
もう1案は僕がつくりました。入った瞬間に世界観に引き込んで、「空き室を探す」導線を最初から強く出す、予約に寄せた設計です。
ひととおり見せ終えて、感想を聞きました。返ってきたのが、これです。
「内容的にはすごく素晴らしいんですけども」
この「けども」の後が本題でした。
「コンサルの方と一応話はしたんですけども、その前金として払ってあるんですよ」
「トータル的にやらないとって言われて。なかなか話し合ったんですけど、できなかった」
すでに別の会社と契約が済んでいて、前金も払われていました。パッケージ契約なので、一部だけ他社を混ぜるのは難しい。
そして、いちばん効いた一言がこれです。
「イメージ、その方向性がもうがっちり合ってるんですよ、実は。で、そこのLPが昨日立ち上がったんで」
昨日。
僕が資料を仕上げていたその日に、向こうのランディングページはもう公開されていたわけです。
正直に言うと、悔しがる相手を間違えていた
その場では冷静に話していましたが、通話を切ったあと、しばらく座ったままでした。

でも、悔しさの向け先が間違っていたと、あとで気づきます。
負けたのは提案の質じゃなくて、順番です。
相手が「誰に頼むか」を決めたのは、僕がプレゼンするよりずっと前でした。決まったあとに出す提案は、どれだけ良くても「今から契約を壊してください」というお願いにしかなりません。相手に嫌な思いをさせるだけです。
しかも僕は、その場で自分でこう言っているんです。
「他のところが入ってくるのは、当然嫌がるとは思うんですよね」
分かっているのに、決まる前に何もしていなかった。 そこが本当の敗因でした。
これ、経営に置き換えると
提案は、決まったあとには効きません。だから勝負は提案より前にあります。
相見積もりに呼ばれた時点で、たいてい本命はもう決まっています。声がかかったこと自体を「チャンスが来た」と喜んでいる間に、勝負は終わっている。
じゃあ、どこで決まるのか。
「困ったときに、最初に顔が浮かぶ場所」にいるかどうかです。

今朝6時、BNIの朝会に出ていました。長野の雷鳥チャプター、第24回。そこで運営のディレクターコンサルタントの方が話していたことが、この件にそのまま刺さりました。
「信頼はビジネスを生む。文化は信頼を生む」
「ワントゥーワンというのは単にビジネスの話じゃない。個人的にいろんな話をして、会って、知って、理解して、その信頼が生まれて、それで紹介が生まれる」
BNIは世界77カ国、35万人以上。日本でも400チャプター、13,169名が活動しています。基本理念は「ギバーズゲイン(与えるものは与えられる)」。ただし、見返りを期待して与えるのは違う、と釘まで刺されました。
1対1で会っておくのは、雑談でも人脈づくりでもありません。提案の前工程です。
僕はホテルの件で、この前工程を飛ばしていました。案件が動き出してから、いい資料を持って登場しただけです。それは営業ではなく、発表でした。
それでも、その場でやったことが一つある
巻き返そうとはしませんでした。代わりに、こう聞きました。
「どういう形で関われると、助かりますか」
返ってきた答えが、拾いものでした。
「ホームページはできるけど、発信力ができるかどうかは、ちょっと話してみないと分からない」
相手のコンサル会社がいちばん弱いところが、うちのいちばん強いところだったんです。
サイトは向こうが作る。うちはそこにチャットボットを置いて、お客さんから入ってくる質問・疑問・相談をそのままブログとSNSに変えていく。 押しつけの企画ではなく、実際に聞かれていることを出す。これなら契約を壊さずに入れます。
次の打ち合わせは9月10日、11時。東京で会います。
全部は取れなくても、一つは残る。 負けたあとに何を聞くかで、そこが変わります。
今日できる一歩
いま提案書を書いている案件ではなく、まだ何も起きていない相手を1人思い浮かべてください。
その人に、今日1本連絡を入れる。売り込みではなく、ただ会う約束をするだけで構いません。
3か月後にその人が困ったとき、最初に浮かぶ顔になっていれば、そのときはもう提案書はいりません。
さあ、いこうか😆
P.S.
先週のセミナーの二次会で行くつもりだったスナックが、その日は休みでした。しかたなく同じビルの下にあるお粥の店に入ったら、麻婆豆腐が本格的で驚いた。 松本の街は月曜だからか人がまばらで、なんとなくその夜のことを思い出しながら、この件を書いています。
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