現場での気づき

井戸を掘った人は、やっぱりえらい

現場での気づき

昨日は、僕の49歳の誕生日でした。

夜はニュービジネス協議会の集まりで、松本サマーフェストの会場にいました。ビールを飲みながらの立ち話で、こんな言葉が出たんです。

夏の風物詩として、いい文化になってるよね。

たしかにそうだな、と思いました。松本の人にとって、夏の終わりにサマーフェストがあるのは、もう当たり前のことになっています。

でも、当たり前になるまでには、始めた人がいます。


12日間、延べ2万人

松本サマーフェスト2026は、いま開催中です。

会期  8月20日(木)〜 8月31日(月)
時間  平日 17:00〜21:00 / 土日 11:00〜21:00
会場  松本市中央西公園(花時計公園)

12日間のロングランです。昨日その場でも、こんな会話をしていました。

しかもこれ、結構ロングランでやるじゃないですか。2週間ぐらい。びっくりしました。

公式サイトによると、2024年は20を超える飲食店が並んで、延べ2万人を超える人が来ています。今年で18回目です。

主催は松本サマーフェスト実行委員会。共催に松本商工会議所、松本青年会議所、松本ユナイテッド。後援に松本市、松本観光コンベンション協会、松本商店街連盟。そして21世紀ニュービジネス協議会も、後援として名前が入っています。

昨日その場でも、この話が出ていました。「うち、後援に入ってるんですよ」と。僕が所属している側の団体が、このイベントを支えるほうに回っている。そのことを、恥ずかしながらこの日まで意識していませんでした。

数字だけ見れば、松本を代表する夏のイベントです。

でも、始まりはそうではありませんでした。

18年前、僕はこう書いていた

僕は2007年からブログを書いています。一昨日、19年分をこのサイトに引っ越しました。

引っ越したついでに、自分の過去記事を「サマーフェスト」で検索してみたんです。

出てきました。2008年7月27日の記事です。

今年の秋にWEBを絡めた大きなイベントを企画中で、その打ち合わせのためにオクトーバーフェストの主催者の山村さんとお会いしてきたのですが、まずはイベントの盛況ぶりにびっくり!さらに、このイベントを5人位で企画しているというので、さらにびっくり!!

当時はまだ「オクトーバーフェスト」という名前でした。会場も松本城西です。

そして、5人でした。

18年後に延べ2万人が来るイベントを、当時5人で回していた。それを聞いた僕は、ブログに「びっくり!!」と書いています。感嘆符が2つ付いているあたりに、当時の驚きがそのまま残っています。

名前が変わり、場所が変わった

2009年に、会場が花時計公園へ移りました。名前も「松本サマーフェスト」に変わっています。

その年の8月22日、僕はナガブロ主催の「ブログ村」という集まりを、サマーフェストの会場を一部お借りしてやらせてもらいました。翌日には「サマーフェスト最高!」とだけ書いた短い記事も残っています。

翌2010年には、ナガブロのブースを出しました。琉球おやきと、沖縄あぐー豚を売っています。

同じ年の記事には、こんな一文もありました。

もはや恒例?!どでかビール回し飲み♪実はこの辺、あまり記憶にありません(汗)

ずいぶん楽しんでいたようです。

そして2014年、僕はこう書いていました。

夏が終わりかける松本のこの季節に、なくてはならないイベントになったサマーフェスト。ここまで続け、ここまでのイベントにしてきた関係者の皆様。大先輩なのにいつも軽くディスりながらおちゃらけて話しをさせていただいていますが、心の底では尊敬しまくりです。

12年前の自分が、すでに同じことを書いていました。

続けた人も、すごい

18回のうち、ずっと同じ人がやっているわけではありません。

途中で運営が変わり、新しい人が入り、コロナで開催できない年もありました。それでも今年また、花時計公園に灯りがついています。

引き継いだ人たちも、本当にすごいと思います。

始めるのと続けるのは、違う難しさです。始めるときは勢いがあります。続けるときにあるのは、面倒くささと、責任だけです。それを毎年引き受けた人が何人もいて、18回になっている。

昨日その場でも、こんな言葉が出ていました。

これを自分たちでやり遂げるっていう力が、半端ねえっすよ。

だから、いま運営している人たちにもリスペクトしかありません。

昨夜の会場。テントの下は、平日でもこの熱気でした
昨夜の会場。テントの下は、平日でもこの熱気でした

でも、井戸を掘った人はえらい

そのうえで、僕はこう思っています。

みんなにリスペクト。でも、井戸を掘った人はやっぱりえらい。

水が出てから汲みに来るのは、誰でもできます。水が出るかどうか分からない場所を、最初に掘るのが難しいんです。

山村さんを中心とした数人の有志が、2007年に掘りました。当時のJC仲間や、経営者仲間です。誰も「18年後に2万人が来る」なんて保証していない状態で、ドイツビールの祭りを松本でやると決めた。

山村さんは、たしかJCで北陸信越の会頭までやられた方だったと思います(今度ご本人に確かめます)。僕が起業した当初から、ずっとお世話になっている先輩です。

掘った人が、いなくても回る

昨日いちばん残った言葉は、これでした。

山村さんが基盤を作った。山村さんがいなくても、回る。

これを聞いたとき、井戸を掘った人の本当のすごさは、掘ったことではないんだなと思いました。

自分がいなくても水が出るようにしたことのほうが、すごい。

掘って、自分だけが管理していたら、その人が倒れた瞬間に終わります。18年続いているということは、掘った人が早い段階で手を放したということです。


昨日書いた家の話と、同じでした

昨日、誕生日に実家の話を書きました。元禄時代に建てられた家で、300年続いています。

そこでこう書いたんです。

300年続いたのは、誰かが「守ろう」と決意したからではないと思うんです。毎日そこで暮らして、痛んだら直して、次の代に渡した。それを繰り返した結果として、たまたま300年になった。

サマーフェストも同じでした。

「文化をつくろう」と言って始まった文化は、たぶん一つもありません。 面白いからやってみた人がいて、それを次の年もやった人がいて、気づいたら文化と呼ばれていた。

順番が逆なんです。文化は、目標ではなく結果です。

会社でも、同じことが起きます

これを仕事の話に翻訳すると、こうなります。

新しいことを始めるとき、たいてい人は集まりません。5人しか集まらないと、「やっぱりダメか」と思います。

でも18年前のサマーフェストも5人でした。

問題は人数ではなく、翌年もやるかどうかです。 1回目より2回目、2回目より3回目のほうが、ずっと地味で、ずっとしんどい。そこで辞めた企画を、僕自身いくつも見てきました。

そして続けたものだけが、あとから「文化」と呼ばれます。

もうひとつ、山村さんの話から持ち帰るべきことがあります。自分がいなくても回る形にしておくこと。 社長がいないと決まらない会社は、社長が井戸を独り占めしている状態です。かっこよくありません。

僕がブログを毎日書き始めたのも、同じ理屈です。今日書いた1本に価値はありません。でも18年前の1本が、今日こうして使えました。5人で企画していた、という事実を証明できたのは、当時の僕がそれを書き残していたからです。

掘った井戸は、掘った本人が思っているより長く水を出します。


今週いっぱい、やっています

松本サマーフェスト2026は、8月31日(月)まで。平日は17時から、土日は11時から、夜9時までです。

僕もまた行きます。ビールを飲みながら、18年目の井戸の水を、ありがたく汲んできます。

さあ、いこうか。

あなたの会社の「らしさ」は、どこにありますか

30秒で終わる診断があります。考えて出すものではなく、もともとあるものを掘り出すための入口です。