マーケティング
学生は、ホームページを見ていなかった
採用サイトが見られない理由と、SNSで見分けられているもの

今日の夕方、人事担当者向けのオンラインセミナーで登壇しました。
紹介会社に頼りきらない採用をどうつくるか、というテーマです。僕のパートはブランディングと、SNSの使い方。
そこで話したことを、そのまま書きます。ホームページを作って売っている僕が、「学生はホームページを見ていない」という話をしました。
女子大の教室で聞いて、びっくりした
僕は女子大で非常勤講師をしています。ブランディングやSNSを、学生に教えている。
その学生たちに、就職活動の話を聞いたときのことです。
彼女たちは、企業のホームページをほとんど見ていませんでした。
何十万、何百万とかけて作った、あのホームページをです。
正直に言うと、その場で少しうろたえました。僕はそれを作って対価をいただいている側の人間なので。
理由を聞いたら、ぐうの音も出なかった
どうして見ないの、と聞きました。返ってきた理由が、これです。
どの会社のホームページも綺麗で、可愛かったり、かっこよかったりする。でも綺麗なことしか言っていないので、結局中身がわからない
そして、こう続きました。
企業理念のページを見に行くと、だいたい「物心両面豊かな」なんちゃら、と書いてある。
……確かに。
つまり彼女たちは、ホームページが嫌いなわけでも、読めないわけでもないんですよ。全部が綺麗に整っているせいで、差がわからないと言っている。
作り込むほど、他社と見分けがつかなくなる。これは相当きつい指摘でした。
じゃあ、どこで会社を見分けているのか
答えはSNSでした。
彼女たちは常にSNSを見ているので、一瞬で空気感がわかると言うんですよ。
- どんな投稿をしているか
- コメントにどう返しているか
このあたりで、全部かぎつける。そして、こう言っていました。
「ググるより、タグる」
検索窓に会社名を入れて公式サイトを読むのではなく、タグで辿って、生の投稿を見る。決定的だと思ったのは、「コメントの返し方」を見ているという部分です。
コメント欄って、作り込めないんですよ。誰かが何かを書いてきて、それに返す。その一往復に、社風がそのまま出る。
学生は、いちばん繕えない場所を見にいっていた。
ホームページが要らない、という話ではない
誤解のないように書いておきます。ホームページは要ります。 僕はそれを作る会社の代表として、これは断言します。
変わったのは、順番と役割です。
昔は「知る」も「比べる」も「決める」も、全部ホームページの中で起きていました。今は、知るのと比べるのがSNSで終わっていて、ホームページは最後の確認に来る場所になっている。
だから、SNSの側に何もないと、そもそも最後まで辿り着かれません。整った公式サイトだけを持っている会社は、いまスタート地点に立てていないんです。
じゃあ、うちは何をやっているか
言うだけだと説得力がないので、自分たちの話も書きます。
この春、ウェブエイトは10年ぶりに新卒を採用しました。そのときにやったのが、入社前就職披露宴です。
松本市のイオンシネマの、いちばん大きいスクリーンを貸し切りました。300席です。そこに本人の友人や恩師に集まってもらって、結婚披露宴みたいな形で、これから社会に出る本人に自分の言葉で語ってもらった。
採用の条件も、履歴書は不要、服装は自由にしました。資格や能力から先に聞かれることに違和感がある、という人に届けばいいと思ったからです。
これ、綺麗に整えた採用ページからは絶対に出てこない情報なんですよ。「アットホームな職場です」と書くのと、映画館を貸し切って披露宴をやってしまう会社を見せるのとでは、伝わる量が違いすぎる。
もうひとつ、ブランディングでご一緒しているタンカーの会社の話も。内航船員さんの日常をYouTubeで出し続けて、登録者が4万人近くいます。
いちばん見られている類の動画が、「数か月ずっと海の上にいる船で、ご飯は何を食べているのか」なんですよ。求人情報ではありません。ただの日常です。
でも、船に乗る仕事を考えている人にとっては、募集要項100行よりこの2分のほうが知りたいことでしょう。
採用にSNSを効かせる、4つの基本
セミナーで話した中身を、そのまま置いておきます。
① 生で出す。繕わない
綺麗に整えるほど差が消える、というのが今日の話の全部です。
② 求人情報として投稿しない
人と日常を見せる。募集要項はホームページに書いてあれば足ります。
③ 中の人の顔を見せる
会社のアカウントであっても、社員さんが誰なのかが見えること。
④ 応募ではなく、ファンを増やす
今すぐ応募する人だけを追いかけると、母集団が育ちません。応募は一瞬の行動ですが、ファンは何年でも続きます。今は転職する気がない人が、3年後に思い出してくれる。採用の母集団って、本当はそういう時間軸で育つものなんですよ。
そして、いちばん大事なのが続く仕組みです。担当を決める、曜日を決める、ネタの型を決める。
「時間がある時にやろう」となった瞬間に、うまくいかなくなります。 これは例外を見たことがない。
今日できる一歩
自社のSNSのコメント欄を、開いてみてください。
過去10件でいいので、自分たちがどう返しているかを読み返す。素っ気なくないか、テンプレートになっていないか、そもそも返せていないか。
学生が見ているのは、そこです。ホームページの企業理念より先に、そこを直したほうが早い。
さあ、いこうか😆
P.S.
今日のセミナーでは、SNSの利用率の話もしました。70代でも約70%、80代でも50%を超えています。 うちの親も78歳と75歳ですが、普通にLINEでYouTubeの動画を送ってきます。「若い人のもの」という前提で設計している限り、届く相手はどんどん減っていきます。