現場での気づき

高速道路でガス欠した夜に、経営の話をひとつ

現場での気づき

先週の金曜の夜、高速道路でガス欠しました。

情けない話です。走行中に車が失速して、路肩に寄せて停まる。まわりを大型トラックが時速80キロで抜けていく。あの怖さは、経験した人にしか分からないと思います。

でも正直に言うと——あのあとの30分でやったことが、僕が経営でいちばん大事にしている判断とまったく同じだったんですよ。今日はその話をします。


まず、正しい手順を踏んだ

路肩に停めて、すぐマイカー共済のロードサービスに電話しました。加入しているし、これが正解のはずです。

返ってきた答えが、2つ。

「到着は21時40分になります」

そのとき19時です。2時間半、高速道路の路肩で待つということです。

そしてもうひとつ、条件によっては有料になるかもしれない、とも言われました。

でも僕が引っかかったのは、そこじゃありません。2時間半のほうです。

ここで、ふつうは我慢する

たぶん多くの人は、ここで待つと思うんですよ。だって正しい手順を踏んでいるから。加入しているサービスに、正しく依頼した。手配も完了している。あとは待つだけ。

でも僕は、電話を切ったあとにこう考えました。

「僕がやりたいのは、ロードサービスを呼ぶことじゃない。早くここから動けるようになることだ」

手段と目的を、もう一度置き直したんです。

もう1本、別のルートを走らせた

そこで、友人のりょうちゃんに電話しました。泉カーサービスの代表です。

事情を話したら、すぐに動いてくれました。りょうちゃんから小松さんに連絡がいって、緊急で対応してもらえることに。

「21時40分より、早く行けますよ」

ここで大事なのは、この時点でまだ決めていないということです。共済もキャンセルせず、小松さんにも「ちょっと待っててください」と伝えて、2本を並べたままにしました。

そして、結末がひっくり返る

そうこうしているうちに、電話が鳴りました。

最初に断られたはずの、マイカー共済が呼んでくれた会社さんからです。

「20時20分に行けます」

……いちばん早いじゃないですか。

正直に言うと、拍子抜けしました。あれだけ動いて、別ルートを探して、結局最初のルートがいちばん早かった

小松さんにお詫びとお礼の電話を入れて、共済の会社さんにお願いしました。給油してもらって、最寄りのサービスエリアで満タンにして、無事に帰れました。りょうちゃん、小松さん、本当にありがとうございました。

現場で言われたこと

待っているあいだ、道路公団の方が来てくれて、こう言われました。

「三角表示板がないなら発炎筒を焚いてください。それと、車の中で待たないで。外の安全な場所にいてください」

車の中のほうが安全な気がするじゃないですか。逆なんですよ。追突されたら、車の中にいるほうが危ない。

これも「よかれと思ってやること」と「本当に正しいこと」が違った瞬間でした。


で、経営の話です

この夜にやったことを、言葉にするとこうなります。

① 手段ではなく、目的から考え直した

「ロードサービスを待つ」は手段です。目的は「早く動けるようになる」。手段に固執すると、2時間半が消えます。

仕事でも同じことが起きます。「この業者に頼むと決めたから」「この方法でやると決めたから」——決めた瞬間の理由が、状況の変化で無効になっていることがある

② 選択肢を並べたまま、決め切らなかった

ここがいちばん大事だったと思っています。

僕は共済をキャンセルしていません。小松さんにも「ちょっと待っててください」と言って、2本を生かしたままにしました。だから20時20分の連絡が来たとき、すぐそっちを取れた。

もし「別ルートに決めた!」と言って共済を切っていたら、いちばん早い選択肢が消えていたんです。

早く決めることと、決め打ちすることは違う。 動きながら、選択肢は開けておく。

③ 目的だけを、ずっと見ていた

結局、僕がやったことは「一番早く動けるようになる道はどれか」を、状況が変わるたびに選び直しただけです。

最初は共済。次に別ルート。そしてまた共済。ころころ変わったように見えて、判断基準は一度もブレていません。

判断に迷うときって、たいてい目的を見失って、手段を守ろうとしているときなんですよ。「せっかく友人に頼んだのに」「もうキャンセルしちゃったし」——そういう気持ちが、いちばん最適な道を塞ぎます。

動いたことに、意味はあったのか

「結局、最初のルートだったんでしょ? じゃあ動いた意味なくない?」

そう思うかもしれません。でも僕は逆だと思っています。

動いたから、20時20分の電話を「早い」と判断できた。

もし何もせず待っていたら、あの電話は「1時間20分も早まってラッキー」で終わっていた。でも別ルートを走らせていたから、選べる状態で受け取れたんです。

それに——たぶんこれがいちばん現実的な話ですが、こちらが動いていることは、相手にも伝わります。 結果として全体が早く回った。

無駄足に見える動きが、状況そのものを動かすことがある。待っているだけでは、状況は変わりません。

今日できる一歩

いま何かの「順番待ち」をしていませんか。

  • 業者からの返事待ち
  • 決裁待ち
  • 誰かの作業が終わるのを待っている

その待ち時間、「そもそも別ルートはないか」を5分だけ動いてみてください。

大事なのは、いま進んでいる道を切らないままやること。2本目を用意して、早いほうを取ればいい。

結果的に最初の道が正解でも、それでいいんです。選べる状態にいること自体が、いちばんの安心なんですから。

さあ、いこうか😆

P.S.

そもそもガス欠しなければ、この話は生まれていません。給油ランプは早めに見ましょう。ほんとうに。

あなたの会社の「らしさ」は、どこにありますか

30秒で終わる診断があります。考えて出すものではなく、もともとあるものを掘り出すための入口です。