ブランディング
会社を「一言」にするのに、まる2日かけた

8月27日と28日の2日間、トライワングループさんのブランディング研修でした。
長野で、リフォーム・住宅設備・ハウスクリーニングをやっている会社です。野中くん(トライワングループ代表)とは同じBNIチャプターで、今回は会社そのものを言葉にする2日間。
録音を見返したら、2日間で約12時間やっていました。
何をやったのか、そのまま書きます。ブランディング研修って中身が見えにくいと思うので、ちょうどいい機会です。
1日目の午前:言葉の定義から始める
最初にやるのは、かっこいいワークではありません。言葉の定義合わせです。
- セールス=売る
- マーケティング=売れるようにする
- ブランディング=愛されるようにする
- マネジメント=なんとかうまくやる
この4つがごちゃ混ぜのまま進むと、あとの議論が全部ずれるんですよ。
そしてもうひとつ。ブランドコンセプト(自分たちが提供したい価値)と、ブランドイメージ(お客様から見えている姿)は、別物だということ。この2つを一致させていく活動の全部がブランディングです。ロゴや色の話は、その一部にすぎません。
1日目の午後:3時間半のブレスト
午後は、ひたすら3C分析です。顧客・競合・自社。
「いろはす」や「かつや」の事例で機能的価値と情緒的価値の違いを見てから、自分たちの番。お客様は何に困っているか。競合は何をしているか。自分たちの強みはどこか。付箋を出して、出して、出しまくる。
ここで大事なことをひとつ。
差別化の答えは、会議室ではなくお客様の頭の中にあります。「他社もある中で、なぜうちを選んでくれたんですか」——これを聞き続けて言語化したものだけが、本物の差別化です。
2日目の朝:お客様の困りごとが見えてきた
2日目は、顧客理解の深掘りから。ここで、業界の構造的な話が出てきました。
ハウスメーカーの保証は、だいたい10年で切れます。 切れたあと、「じゃあ次はどこに頼めばいいの?」という家が、実はたくさんある。
エアコンが壊れた。給湯器の調子が悪い。そのたびに、知らない業者をネットで探して、相見積もりを取って、当たり外れに怯える。
だったら、壊れる前から関わってくれて、何かあったら真っ先に呼べる存在がいたらどうか。家の主治医のような存在です。
トライワングループさんの向かうべき場所が、この議論でくっきりしました。
そして、トーナメント戦
ここからが本番です。会社を一言で表すブランドコンセプトを決めます。
やり方は、うちの定番。全員が案を書いて、トーナメント形式で戦わせるんです。1対1で並べて、どちらが自分たちらしいか、なぜそう思うかを議論して、勝ち残らせていく。
多数決ではありません。議論です。負けた案の「ここは良かった」という部分が、勝った案に混ざっていく。トーナメントは決める仕組みであると同時に、全員がコンセプトの当事者になる仕組みでもあります。
以前ご一緒した小林創建さんのときも、同じやり方で「信州の暮らしを彩り、家族と共に育てる美しい木の家」という一言が生まれました。
今回はうちのちーちゃんもワークに加わって、付箋を出す側で参加しています。
で、トライワングループさんの一言は、こうなりました。
一家にひとり、いつもの相棒
一家にひとり。保証が切れて頼み先を失った家に、「いつもの相棒」がいる。業者ではなく、相棒。呼べば来てくれて、壊れる前から気にかけてくれる。
午前中に掘り当てたお客様の困りごとと、まっすぐ繋がった一言です。
2日目の午後:一言を、全部に通す
コンセプトが決まったら、終わりではありません。ここからが長い。
決めた一言を、会社のすべてに通していきます。曼荼羅チャートという9マスの表を使って、クリエイティブ、施策、数値目標、商品・サービス、バリュー、行動指針、言葉遣い、スキル、人間性——全部をこの一言と矛盾しないように設計し直す。
参考にしたのは、やり切っている会社たちです。
ティファニーはあの青い箱だけで分かる。FedExのロゴには矢印が隠れている。スターバックスは店の香りまで設計している。「鼻セレブ」や「まるでこたつソックス」は、名前だけで価値が伝わる。
視覚だけじゃなく、言葉遣いも、音も、香りも、ブランドの一部なんです。
新しい保証サービスの名前も、この日に決まりました。これはリリースが楽しみなので、発表までとっておきます。
2日で一言。高いか、安いか
まる2日かけて、手に入ったのは一言です。
高いと思うかもしれません。でも、この一言はこれから10年、看板にも、名刺にも、社員の口癖にも、採用ページにも、営業トークにも、ずっと働き続けます。
今週、草間彌生さんの水玉の話を書きました。97年間、同じモチーフを掘り続けたから、世界中の誰もが水玉で「クサマ」と分かる。
会社も同じです。一言決めて、それを全部に通して、やり続ける。 ブランドはその繰り返しの先にしかありません。
さあ、いこうか😆
P.S.
野中くん、2日間おつかれさまでした。「いつもの相棒」が長野の当たり前になる日を、楽しみにしています。
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