現場での気づき
100万円の助成金は、333万円を売るのと同じ

昨日、2026年8月24日。松本でセミナーに登壇しました。
助成金最大限活用×利益が伸びる会社をつくるセミナー。東京から来た2人と、松本の僕。3人でのコラボです。
会場には、中小企業の社長と後継者の方々。2時間半。
そこで出たひとつの数字が、ずっと頭に残っています。
「後から調べる」では遅い
最初に登壇したのは、株式会社プラグマの堀口恵子さん。事業計画と助成金の話です。

1枚目のスライドに、こう書いてありました。
「後から調べる」では遅い!
助成金を賢く使う経営計画の立て方
いきなり結論から入ってきました。この一行が、この日ずっと効いてきます。
その中で、こういう計算が出ました。
助成金100万円を受け取ることは、売上333万円をつくるのと同じ。
理由はシンプルで、助成金はまるごと利益になるからです。利益率3割の会社なら、100万円の利益を出すのに333万円売らないといけない。
さらに堀口さんは、こう続けました。
「6年で800万円の助成金なら、2000万円くらい売らないと届きません」
会場の空気が変わったのが分かりました。
僕もこの数字を初めて整理された形で聞いて、正直ぐっときました。普段「売上を伸ばす」話ばかりしているけれど、同じ利益を、営業しないで取る道があるということです。
それでも、後回しになる
では、なぜみんなやらないのか。
セミナーの最後に、参加者の方が順番に感想を話す時間がありました。そこで製造業の社長がこう言ったんです。
「うちは、先に実行しちゃうんですよ。やってから『これ助成金つかないかな』と探して、結局うやむやになる」
この一言が、この日いちばん誠実な発言でした。
そして、これがまさに致命傷なんです。
社会保険労務士法人プラグマの三城夏子さんが、実務パートで鉄則を2つ挙げていました。社会保険労務士として100社・23,000人の労務管理を見てきた方です。

鉄則1|後出しは、一切できない
採用も、研修も、設備投資も、やる前に計画届を出す必要があります。使ってから「実は」は通りません。制度がそう設計されています。
鉄則2|助成金は、労務管理が整っている会社へのご褒美
就業規則、法定帳簿、残業代の適正な支給、社会保険の加入。ここに穴があると、どれだけいい計画でも通りません。
つまり助成金は、思い立った人ではなく、準備していた人のところにだけ落ちてきます。
いま動くべき理由が、2つあります
三城さんの話で、期限のあるものが2つ出ました。
1つ目。最低賃金が上がります。
長野県は1061円から1117円へ。2026年10月2日の施行がほぼ確定です。5%を超える賃上げになります。
ここで大事なのは、どうせ上げるなら、上げること自体を助成金の要件に乗せるという発想です。たとえばキャリアアップ助成金には「3%以上の賃上げ」という要件があります。義務として払うか、要件として設計するか。同じ支出でも、戻ってくる額がまったく変わります。
2つ目。リスキリングの枠が終わります。
人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」は、2027年3月末で終了が決まっています。
中小企業なら経費助成75%、さらに訓練1時間につき1000円の賃金助成。研修費100万円・100時間・5名で試算すると、経費75万円+賃金50万円で125万円が戻る計算です。
僕は研修を提供する側なので、正直に言えば売り込みに見えるのが嫌でこの話をあまりしてきませんでした。でも、終わると分かっている制度を黙っているほうが不誠実です。
僕が話したのは「愛されるようにすること」
僕のパートは、パート1名からできるSNSマーケティングでした。

最初に、混ざりやすい4つの言葉を整理しました。
| セールス | 売ること |
| マーケティング | 売れるようにすること |
| ブランディング | 愛されるようにすること |
| マネジメント | 役割や組織をうまくやること |
そして、外側だけ整えるブランディングは逆効果だという話をしました。中身が伴わないまま見た目だけ良くすると、悪い評判のほうが速く広がります。
事例に出したのは、長野県別所温泉の老舗旅館です。
団体客はブームで増えていたのに、リピートしてくれる個人客が減っているという危機感からのご相談でした。サイトを直したい、という話でしたが、直したのはサイトではなく軸のほうでした。
3C分析で行き着いたコンセプトは、「親子三世代で、ゆっくり安心して泊まれる宿」。
そこから先が本番です。
- 料理長が無添加で一から手作りする離乳食
- 温度を39〜40度に設定した子ども連れ専用の貸切風呂
- 周りを気にせず食べられる個室食(現場の負荷は相当でした)
- 手ぶらで来られるように、絵本の図書室とおむつペール
コンセプトを紙に書いて終わりではなく、オペレーションと設備を全部そこに寄せたわけです。
結果として楽天トラベルアワードを2017年・2018年と連続で受賞し、若女将が八代目に代替わりする流れもできました。
そのあと、コロナと台風19号が重なります。クラウドファンディングをやったとき、目標300万円に対して集まったのは1300万円でした。
きれいな写真を撮ったから集まったのではありません。それまでに積んだ信頼が返ってきただけです。
助成金とブランディング、同じ構造でした
セミナーが終わって、移動しながら気づいたことがあります。

この日の3人の話は、全部同じことを言っていた。
堀口さんのスライドの一行目に戻ります。「後から調べる」では遅い。
助成金は、後出しができません。先に計画に入れた会社だけが受け取れます。
ブランディングも、後出しができません。「売れなくなったから、そろそろブランディングでも」では間に合わない。普段から積んでいた会社にだけ、いざというとき返ってくる。旅館のクラウドファンディングが、まさにそれでした。
採用も同じです。求職者は、整えられた公式サイトよりSNSの生の情報を見て社風を判断しています。急ごしらえのアカウントでは間に合いません。
つまり全部、「あとで何とかする」が効かない領域の話でした。
僕はこれを「思いつきでは取れない」と呼んでいます。逆に言えば、先に決めておくだけで、ほとんどの会社を抜けるということでもあります。
今週やってほしいこと
ひとつだけです。
今期やる予定の「人への投資」を、3つ書き出してください。
採用でも、研修でも、正社員化でも構いません。書き出したら、その横に「まだ実行していない」かどうかを書いてください。
まだ実行していないものは、全部、助成金の検討対象です。実行済みのものは、残念ながら手遅れです。
この一行を書くだけで、333万円分の売上に相当する話が動き出すかもしれません。
昨日のセミナーで、僕はスライドを130ページ用意していきました。でも、いちばん効いたのは堀口さんの「333万円、売れますか」という一言でした。
数字は、正直です。
さあ、いこうか。
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セミナーの詳細
https://web8.co.jp/2026pragma_webeight-2/
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